霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-51
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ポスター発表
ボルネオ島の熱帯雨林に生息するネズミヤマアラシ (Trichys fasciculate) の生態:巣穴利用と夜間行動
*松川 あおい
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抄録
 ボルネオ島の熱帯雨林にはマレーヤマアラシ (Hystrix brachyuran) ,ボルネオヤマアラシ (Hystrix crassispinis) ,ネズミヤマアラシ (Trichys fasciculate)の 3種のヤマアラシが棲息している.しかし,夜行性で直接観察が困難なことや,熱帯雨林では糞などの痕跡が残りにくいことから,熱帯雨林に生息するヤマアラシ類の研究はまだほとんど行われていない.本研究では,ボルネオ島の熱帯雨林に生息するネズミヤマアラシの生態と行動,特にその巣穴利用と夜間の行動パターンを明らかにすることを目的に,2013年 7月から 2013年 5月まで,マレーシア・サバ州のカビリ -セピロク森林保護区で調査を行った.
 巣穴センサスの結果,約 100haの調査地内で 11カ所の巣穴を発見した.巣穴周辺に計 40台のボックストラップを設置したところ,一カ所の巣穴周辺で,その巣穴を利用する家族グループのネズミヤマアラシ 3個体 (成体オス1,成体メス1,コドモ1)が捕獲された.ラジオトラッキングと直接観察,巣穴入り口に設置したカメラトラップによる調査の結果,彼らが昼間は一緒に同じ巣穴にとどまり,夜間(19:00-5:00)にのみ巣穴外で活動すること,巣穴外ではオスとメスが別々に活動するが,オスの行動圏(22.27ha)とメスの行動圏(15.08ha)は大きく重複すること,コドモは巣穴周辺(50m以内)でのみ活動することなどが明らかになった.また,調査地内で発見された 11カ所の巣穴は,全てその行動圏内にあり,彼らは 8ヶ月の間にそのうちの3カ所の巣穴を利用し,少なくとも 4回,利用する巣穴を変更したことがわかった.さらに,夜間の直接観察によって,落下果実などを採食すること,特定の休息場所で休息すること,特に巣穴や休息場所の周辺で頻繁に匂いづけ行動を行っていることなどが明らかになった.
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© 2013 日本霊長類学会
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