抄録
ヒナコウモリ Vespertilio sinensis (Peters, 1880)は, D.FUKUI(2006)によれば,国内では北海道,本州,四国,九州に分布するほか,国外では中国東部,シベリア東部,朝鮮半島に分布する.近年森林伐採などにより住処が減少しているのではないかと考えられ,岡山県レッドデータブック 2009では絶滅危惧.類に指定されている.ヒナコウモリは,ねぐらとして家屋を利用することが知られているが,岡山市内では新幹線の高架下に設置されたネット内に巨大な出産・哺育コロニーが発見されている(山田 , 2011).西日本においてヒナコウモリのコロニーの発見は希少であり,このように大規模なものは全国的にも稀である.今回は,ヒナコウモリのコロニー形成の過程を明らかにすることを目的に調査を行った.方法は写真撮影を主とし, 2013年 4月から 9月にかけて週に 3回程度調査した.高架下において,ヒナコウモリのコロニー全体の個体数が把握できるように複数枚に分けて写真を撮影し,写真に写った目視できる個体数の算定を行った.これらによりコロニーを形成する個体数の変遷についての知見が得られたので報告する.また,2012-3年に JR西日本がネットの一部撤去を行った.これは,従来,ネットにより行われていたコンクリート剥落防止措置が技術革新によって樹脂塗布型に変更になったためで,部分的にネットを残す事により,コロニーへの影響を最小限にとどめる事を企図している.これによるヒナコウモリのコロニー形成の変化についても合わせて報告する.