霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-90
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ポスター発表
トドの外部形態と内臓器官における相対成長について
*和田 昭彦*星野 昇*三橋 正基*小林 由美*磯野 岳臣
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抄録

 トドは秋期から春期にかけて北海道沿岸に来遊する.この間トドは様々な魚類を採餌し,雌雄ともに成長や繁殖に備えて栄養を蓄える重要な時期である.本研究では北海道に来遊するトドの成長や栄養状態を調べるため,外部形態計測値および各内臓重量の相対成長や季節変化に関する解析を行った.2004~ 2011年に北海道沿岸において採集された標本のうち,信頼性の低い測定値を除く 109個体を用いた.外部形態(胴周囲長および皮下脂肪厚)は体長の対数値に対して,内臓重量(肝臓および腎臓)は体長の 3乗の対数値に対する相対成長を解析した.季節変化に関しては体サイズの影響を除くため,各計測値を体長で除した.いずれの内臓重量も等成長であり,雌雄差は見られなかった.外部計測値では胴周囲は雌雄とも優成長,皮下脂肪厚は標本の状態によって測定値にばらつきが大きかったが,雌雄ともに優成長を示した.皮下脂肪厚の季節変化を見ると,雄では 1~ 4月にかけて一定の増加が見られたが,雌では個体差が大きく明瞭な傾向は見られなかった.雌雄における繁殖スケジュールの違いが脂肪の蓄積に反映されたのではないかと考えられたが,データ数が少ないことや脂肪の計測方法について問題があるため今後検討する必要がある.

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© 2013 日本霊長類学会
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