霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-200
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ポスター発表
チンパンジー飼育マニュアルについて考える:アメリカの例を参考に
*落合 知美
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抄録
 現在,日本の 51施設で 326個体のチンパンジーが飼育されている (2013年 5月 31日現在).チンパンジーの飼育をおこなう上で,行動や生態について正しい知識を待ち,過去の経験などから明らかになった飼育のノウハウなどを参照し,日常の飼育管理に役立てることはとても重要だろう.そのため,これらの情報をまとめ,飼育担当者が簡単に参考にできるような「飼育マニュアル」の作成が望まれる.日本においては,過去にチンパンジーの飼育マニュアルが作成された経歴はないが,アメリカではすでに数冊の冊子が発刊されている.そこで,これらの内容を紹介するとともに,日本でのチンパンジー飼育マニュアル作りについて考えたい.1992年にアメリカ動物園水族館協会 (以下 AZA)が発行した「The care and management of chimpanzees in captive environments: a husbandry manual development for the chimpanzee species survival plan」は,AZA加盟園のノースキャロライナ動物公園が,博物館からの助成を受け,チンパンジーの飼育についてまとめたものである.分類,行動,管理,獣医学,施設設計の 5章で成り立っており,論文などからまとめた情報に加え,3回にわたる独自のアンケート調査の結果も掲載されている.2001年には,アメリカ霊長類学会より「The care and management of captive chimpanzee」が出版され,飼育管理に関する一般情報に加え,歴史や法律などについてもまとめられた.2010年に AZAが発行した「Chimpanzee care manual」は 10章で構成され,それぞれの内容に関わる AZA認定基準を,赤枠の囲みで参照している.アメリカでは現在,1884個体が飼育されているが,AZA認定基準が適応されるのは,加盟園の 35施設 254個体である(http://www.chimpcare.org,2013年 4月 30日現在).日本でのチンパンジー飼育マニュアルを作成する際には,こうしたアメリカの事情もふまえた上で,参照していく必要があるだろう.
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© 2013 日本霊長類学会
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