霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-222
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ポスター発表
ライムギ草地におけるイノシシの採食被害への播種時期の影響
*上田 弘則
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抄録
 これまでにイタリアンライグラス,トールフェスク,エンバク,ライムギ,オーチャードグラスという 5種類の寒地型牧草の中で,ライムギが最もイノシシによる採食被害程度が低いことを明らかにした.イノシシの出没頻度の低い地域では,被害がほとんどなかったのに対して,出没頻度が高い地域では 4割弱の被害が発生したことを昨年度報告した.今回は,ライムギを播種する時期を変えることで,イノシシによるライムギの採食被害割合をさらに下げられるかどうかについて明らかにした.島根県大田市の採草地に 8.4aの試験区を 4つ設定して,9月下旬,10月中旬,11月上旬,12月上旬にライムギを播種した.播種後にエクスクロージャーを設置して,翌 5月にエクスクロージャー内外で牧草を刈り取って乾燥重量を計数した.また,各試験区に自動撮影カメラを設置してイノシシの試験区の利用頻度を明らかにした.いずれの試験区でも,イノシシの利用頻度は播種後 2~ 3ヶ月にピークがみられたが,ピーク時の利用頻度には試験区ごとに差がみられ,12月区の利用頻度が最も高く,次いで 11月区, 10月区, 9月区の順で低くなった.このようなイノシシの利用頻度と対応するように,5月に刈り取ったエクスクロージャー外の現存量は,12月区で最も低く,次いで 11月区,10月区,9月区の順で高くなった.ただし,有意差がみられたのは,12月区と 9月区,12月区と 10月区の間だけであった.エクスクロージャー内の現存量の結果も踏まえて,播種時期の違いによるイノシシのライムギの採食被害の軽減効果について考察する.
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© 2013 日本霊長類学会
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