抄録
【目的】
我々は第39回本大会において関節リウマチ(以下、RA)患者の骨吸収マーカー・尿中NTX値(以下、NTX)について検討し、運動習慣を有するRA患者群では骨吸収が抑制される傾向を示すことを発表した。
今回、40歳前と現時点の運動習慣の有無がRAの骨に与える影響について検討したので報告する。
【方法】
女性RA患者60名(平均70.3歳)を対象とし、40歳前と現時点の運動習慣の有無により、A群(40歳前、現時点:あり、あり)、B群(あり、なし)、C群(なし、あり)、D群(なし、なし)とし、腰椎骨密度、NTX、年齢、罹病期間、進行度(stage)、機能障害(class)、赤沈値の各平均値を比較した。
運動習慣の定義については、対象者に直接問診を行い、スポーツ(球技、水泳等)、身体的余暇活動(日本舞踊等)、身体的職業(農業等)を概ね週1回1時間以上、かつ3年以上継続した対象者を運動習慣群とした。
腰椎骨密度の測定値が不適切であると思われる3名および40歳未満であった1名を除く56名について検討を行った。
【結果】
A群8名、B群13名、C群15名、D群20名であった。
年齢、罹病期間、赤沈値は群間の有意差は認めなかった。
腰椎骨密度(g/cm2)はA群.830±.058、B群.730±.132、C群.743±.114、D群.727±.092であった。NTX(nmolBCE/mmol・Cr)はA群77.7±19.5、B群86.3±43.3、C群66.1±29.8、D群78.7±38.8であり、腰椎骨密度は40歳前から現時点を通して運動習慣を有する群が最も高かった。NTXは40歳前は運動習慣がなく、現時点の運動習慣を有する群が最も抑制されていた。
進行度はA群2.6±1.2、B群3.2±0.9、C群2.2±0.7、D群3.2±0.8で、B群とC群、C群とD群との間に有意差が見られた。機能障害はA群1.4±0.5、B群2.1±0.8、C群1.5±0.5、D群2.0±0.3で、A群とB群、A群とD群、B群とC群、C群とD群との間に有意差が見られ、現時点で運動習慣を有する群で関節破壊および機能障害が有意に少なかった。
【考察】
現時点で運動習慣を有する群は、腰椎骨密度、NTXともに有利な値を示したが有意差は見られなかった。また、同時に機能障害および進行度が有意に低いという状況が認められた。
我々は先行研究において腰椎骨密度は機能障害に相関し、NTXは機能障害および進行度に相関することを確認しているが、RA患者の骨動態を良好に保つためにはRAの進行および機能障害の進展を防止し運動習慣を持続することが重要であると考える。