主催: 日本霊長類学会・日本哺乳類学会大会
金華山島(以下「島」)のニホンジカは高密度なために慢性的な貧栄養状態にある.この角を岩手県五葉山(本土1)と長野県八ヶ岳(本土2)のそれと比較したところ,角の重さは本土2>本土1>島であり,同じ長さクラスでは島が有意に軽かった.密度 (g/cm 3)は本土1(1.7)>本土2(1.6)>島(1.5)の順であった.また角の断面形は本土 2はほぼ円形であったが,島は前後に扁平であった.これらの結果から,島集団は角への投資を最小限にしているが,長さを維持し,前後方向の負荷に強い変形をしていることが示唆された.