霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: A2-6
会議情報

口頭発表
ヒトとチンパンジーの大腿骨の形状の比較 骨形状決定の数字モデルによる、筋力の評価
*稲用 博史*平崎 鋭矢*濱田 穣
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
<目的>ヒトは直立二足歩行する.このため,チンパンジーと異なり,ヒトは股関節と膝関節を伸展した肢位をとる.また,ヒトの骨盤の幅はチンパンジーより広く左右の寛骨臼は離れている.更に両膝関節を接近させた肢位をとるため,大腿骨は,膝関節から股関節に向かって傾きをもつ.他方,チンパンジーでは,四足,二足,いずれの立位の状態においても両膝関節は離れた肢位とるので,大腿骨の傾きは小さい.
 ヒトは直立二足歩行をするために,骨盤,大腿骨の形状を変化させ筋の走行を変化させてきた.この適応的変化は,腸脛靭帯による大転子への圧迫が関与していると考えた.
 ヒトとチンパンジーの大腿骨の形状を比較し,筋力を推定し,推定された力学的ストレスと骨形状の関係の妥当性を検討した.
<方法>筋骨格の数学モデルを作成し,汎関数を定義した.汎関数を三次元有限要素法で離散化した.大腿骨を想定し,臼蓋と腸脛靭帯からの力に相当する力学的ストレスを加え,表面歪エネルギー密度を計算することで表面形状を変化させた.この過程を繰り返し力学的最適形状に近づける,という手法を用いて大腿骨に与えられる力学的ストレスを推定した.
 ヒトにおいては大臀筋が大きいことを考慮し,腸脛靭帯から大きい力が大腿骨に加わるように数学モデルに組み込んで計算した.
 形状変化を,チンパンジーの骨標本と比較して,評価,検討を行った.
<結果>腸脛靭帯からの,より大きい力により,ヒトの大腿骨体部がチンパンジーと比較して内側凸の緩やかな円弧を描く様に傾き,遠位端で傾きを形成する,という結果が得られた.
 この結果は,実際の大腿骨に加えられている力学的ストレスと大腿骨形状との関係が,異なった種における筋の作用の相違を表現していると思われた
著者関連情報
© 2013 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top