霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: P15
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ポスター発表
飼育下ボルネオオランウータンPongo pygmaeusの加齢に伴う生殖内分泌動態 ―第三報―
*平井 仁智*出村 哲*石橋 佑規*岩田 雅也*清水 美香*高岡 英正*中村 智行*郡 健一郎*越野 慶太*竹田 正人*清水 慶子
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抄録

オランウータンは、東南アジアのボルネオ島とスマトラ島のみに生息する樹上性の大型類人猿であり、近年、生息域が縮小・分断され、絶滅の危機に瀕している。現在、日本国内においてボルネオオランウータンは11園館で32頭(♂17頭、♀15頭)が飼育されているが、年々個体数が減少し高齢化が進みつつある。しかし、本種において加齢に伴う生殖内分泌動態についての生殖生理学的研究はほとんどない。
加齢に伴い変化するホルモンの一つとして、主に副腎から分泌されるDehydroepiandrosterone sulfate(DHEAS)がある。ヒトや類人猿以外の霊長類では、血清DHEASは加齢に伴い著しく減少することが知られており、これは老化の一つの指標として考えられている。しかしながら、類人猿ではその動態は未だ分かっていない。そこで、本研究では酵素免疫測定法により、2013年に採取した雄13頭(0~推定45歳)、雌12頭(3~推定58歳)の糞からDHEASの測定をおこなった。その結果、糞中からDHEASを測定することは可能であった。また、DHEAS値は年齢とともに変化することが分かった。これらにより、年齢不明の個体の生殖状況の推定が可能になり繁殖計画の基礎データとなることを目的として、加齢に伴い変化する生殖内分泌動態について考察をおこなったので報告する。

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© 2014 日本霊長類学会
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