霊長類研究 Supplement
第30回日本霊長類学会大会
セッションID: P16
会議情報

ポスター発表
ナショナルバイオリソースプロジェクト「ニホンザル」の活動について
*浜井 美弥*中村 克樹*宮本 陽子*伊佐 正*山根 到
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)「ニホンザル」は、平成14年の発足以来、自然科学研究機構生理学研究所(代表機関)と京都大学霊長類研究所(分担機関)の協力のもと推進されてきた。第1期(~平成18年度)には繁殖母群形成と繁殖・育成体制の安定化、第2期(~平成23年度)には円滑な提供体制の構築に努め、平成25年度までに合計30の大学・研究機関に418頭を提供する実績を上げた。提供個体が貢献した研究成果は高次脳機能に関わる病態の解明および治療、さらに再生、BMI、遺伝子医療などの医療技術開発に寄与する基礎研究など多様な分野で公表され始めている。
プロジェクトの意義を一般に広く周知するため、ホームページ、公開シンポジウム、資料の発行、学会展示などの広報活動を行うほか、研究者コミュニティの意見交換の場として、メーリングリスト、実験動物使用者会議を運営し、ニホンザルの適正な飼養、獣医学的管理に寄与する基礎データ、霊長類の実験使用をめぐる国内外の状況、実験動物福祉に関する最新情報などの収集・蓄積も行っている。
提供申請の審査、感染症対策など、事業の基本方針を決定する際には、実験動物学、霊長類の生態・飼育管理専門家、法曹関係者などによって構成される委員会、関連する外部機関専門家をアドバイザーとして招聘するワーキンググループ等で審議し、公平かつ透明性の高い運営を目指すとともに、提供先となる機関に対しては、実験動物福祉の向上、実験適正化に関連する法令、ガイドラインを遵守した飼育環境が整備されていること、実験計画が各研究機関の実験動物委員会の承認を受け、サル生体を取り扱う研究者全員がプロジェクト主催の講習会を受講済みであることなどを申請受け付けの条件として求めることで、ユーザーのコンプライアンス意識向上にも取り組んでいる。
本発表ではこれまでの活動内容を総括するとともに、事業の将来展望について報告する。

著者関連情報
© 2014 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top