抄録
霊長類の「くらし、からだ、こころ、ゲノム」の研究を通して「人間とは何か」を探求する総合的学問としての霊長類学の歩みを、大型類人猿の長期野外調査から展望したい。日本の霊長類学は、西洋のそれと違って野外研究から起源したところに特徴がある。1948年12月、宮崎県の幸島で始まった野生ニホンザルの研究がその嚆矢だ。今西錦司とその仲間たちである。1956年には、民間の支援を受けて財団法人日本モンキーセンターが設立された。そこを起点に、1958年には今西と伊谷純一郎が、アフリカに大型類人猿の最初の調査に出た。1962年に京都大学に人類学の講座が誕生し、当時まだ大学院生だった西田利貞のマハレ山塊での野生チンパンジーの調査が1965年に始まった。本年は、マハレでの長期継続調査開始から50年という記念の年にあたる。そうした先人の努力があって1967年には京都大学に霊長類研究所が設置され、1985年に日本霊長類学会が結成された。今回の特別シンポジウムでは、長期にわたって継続されている大型類人猿の野外調査研究を取り上げることで、改めてこれまでの霊長類研究の流れを振り返り、未来に向けての新たな展望を探りたい。
本シンポジウムでは、世界各地においてチンパンジー、ゴリラ、オランウータンという大型類人猿の長期継続調査をおこなってきた4人の研究者に登壇いただくこととした。それぞれの調査地とそこでの研究の紹介をしていただきたい。さらには、研究成果を踏まえつつより広い視点から、われわれ人間の本性や、その来し方と行く末について語っていただくことを目的とする。
なお,プログラムはすべて英語で行われます。
講演プログラム Schedule
司会 Chair:William C. McGrew(University of Cambridge)
講演 Lectures
13:10~13:50 Carel van Schaik(University of Zurich)
13:50~14:30 山極壽一(京都大学総長)
14:30~15:10 中村美知夫(京都大学野生動物研究センター)
15:10~15:50 Michael L. Wilson(University of Minnesota)
15:50~16:00 総合討論 General Discussion