霊長類研究 Supplement
第31回日本霊長類学会大会
セッションID: B9
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口頭発表
ニホンザル胸・腰神経後枝内側枝の観察
時田 幸之輔
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抄録
脊髄神経後枝の分布領域である背部は本質的に最初に形成された体幹の最も古い部分であるとされており,種や部位による分化の違いが少なく,一様な分節的構成を持つとされている(山田).しかし,ヒト脊髄神経後枝内側枝を詳細に観察した結果,胸神経後枝内側枝と腰神経後枝内側枝では走行経路が異なることを明らかにした(2013).このような腰神経後枝内側枝の特異化は,直立姿勢というヒト特有の姿勢に伴う腰椎前弯に関連した形態ではないかと推察した.この議論には四足動物における脊髄神経後枝の形態との比較観察が不可欠であるが,四足動物脊髄神経後枝の詳細な観察は行われていない.そこで,ニホンザル液浸標本とブタ胎仔標本を対象として,胸・腰神経後枝の起始,経路,分布を固有背筋との位置関係に注意して詳細に観察を行い,ヒト脊髄神経後枝の形態との比較を行った.ニホンザルにおいても,後枝内側枝の形態は大きく2つに分類できた.(1)内側皮枝を持つもの(Th1-Th7),(2)内側皮枝を持たないもの.さらに(2)については,a:筋構成が胸部の様式であるもの(Th8-Th9),b:胸腰部移行領域(Th10-Th11),c:筋構成が腰部の様式であるもの(Th12以下)の3つに細分化できた.(1):皮枝・筋枝共に横突棘筋群の第1層(半棘筋)と第2層(多裂筋)の間を走行する.(2)-a:Th8より皮神経が消失.(1)と同じく半棘筋と多裂筋の間を走行.(2)-b:横突棘筋群の第2層(多裂筋)とさらに深層の回旋筋の間を走行.(2)-c:回旋筋の深層を走行.ブタ胎仔標本においては,胸・腰神経ともに第1層(半棘筋)と第2層(多裂筋)の間を走行していた.以上より,腰神経後枝内側枝の特異化はヒト固有の特徴ではなく,ニホンザルにも共通する特徴であるとことが示唆される.本研究は,京都大学霊長類研究所共同利用研究として実施された.
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© 2015 日本霊長類学会
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