霊長類研究 Supplement
第31回日本霊長類学会大会
セッションID: P3
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ポスター発表
新世界ザルにおける液性免疫応答の機能低下は霊長類肝炎ウイルスの持続感染に寄与する
鈴木 紗織東濃 篤徳森 健一大出 裕高松岡 和弘岩谷 靖雅杉浦 亙片貝 祐子槇 昇明里 宏文
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抄録
【目的】C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)感染により起こる慢性疾患であり、病態の進行に伴い肝硬変や肝細胞癌に至る。HCV感染による病態進行の機序解明を目指し、HCVに近縁な霊長類肝炎ウイルスであるGBウイルスB(GBV-B)をその感受性動物であるタマリンおよびマーモセットへ実験感染を行い、その液性免疫応答について検討を行った。【材料と方法】実験感染にはGBV-Bの感染性分子クローンから得たウイルス株を用いた。新世界ザルであるアカテタマリンもしくはコモンマーモセットにウイルスを接種後、血中ウイルス量、肝炎マーカー、及びウイルス蛋白質に対する特異抗体価を経時的に測定した。また次世代シークエンサーにて血中ウイルスの遺伝子変異を解析した。【結果と考察】亜急性クリアランス群では、肝炎マーカーが減少しウイルスが検出限界以下となる感染後3ヶ月頃にウイルス特異抗体が強く誘導されることがわかった。興味深いことに、持続感染群では、特異抗体が誘導されるまでに感染後1年以上を必要とした。さらに次世代シークエンスの解析結果から中和抗体からの逃避変異と推定される複数箇所のアミノ酸置換変異が認められた。以上より、感染早期での抗体誘導がウイルス制御に重要であること、肝炎ウイルス特異的免疫応答の量的・質的な低下が慢性化に寄与していることが示唆された。これらの結果は霊長類肝炎ウイルスによる病態解明において貴重な知見であると考えられる。今後、中和抗体価の定量とともに逃避変異と慢性化移行との関連についても解析を進めたい。
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© 2015 日本霊長類学会
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