霊長類研究 Supplement
第32回日本霊長類学会大会
セッションID: A10
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口頭発表
マルチコプター監視技術を用いた野生ニホンザルのモニタリング法の検討
森光 由樹
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抄録

特定鳥獣保護・管理計画において、群れのモニタリング調査は重要である。これまで、モニタリング調査は主に、直接観察法によるデータ収集が多かった。しかし、直接観察法は、動物が人を忌避するため情報収集が困難な場合が多い。また、我が国特有の急峻な地形や森林などによる障害物で観察が難しい地域もあり労力がかかる。マルチコプターを用いた研究は進展しており、野生動物の調査研究にも少しずつ利用され始めている。そこで報告者は、マルチコプターを用いて、群れを追跡し撮影することができれば、頭数の把握や個体生息情報を収集することができると考え検討した。兵庫県船越山に生息している群れを対象に、マルチコプター(Parrot Bebop 2)を用いて観察を行った。群れの忌避および馴致状態を観察するため、複数回の飛行を行った。飛行時間は、バッテリー容量から20分間、群れがいる場所を飛行し撮影した。飛行スケジュールは、連続7日間1日、1回20分間とした。個体の忌避状態、撮影状態を記録し本法の有効性について検討した。飛行1日目は、群れの全ての個体が、マルチコプターに驚き、逃避する個体がほとんどあった。3日目から少しずつ馴れはじめ観察が可能な個体が観察された。7日目には、一部の個体が逃避するものの、観察が容易となった。今回の試験から、マルチコプターによる撮影が可能になれば、動物の観察が容易となりモニタリング調査に有益な情報を収集すると思われた。しかし、本法には課題も多い。特に今回の例から、使用には対象動物に馴致期間が必要であった。また、本法は、操縦にある程度トレーニングが必要なこと、風雨の影響を受けること、バッテリー容量から飛行時間が短いこと、航空法の制限を受ける地域があることなどがある。今後は、対象動物に忌避されない、長時間、誰でも簡単に飛行できる機材の開発が課題である。

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© 2016 日本霊長類学会
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