霊長類研究 Supplement
第32回日本霊長類学会大会
セッションID: P43
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ポスター発表
ニホンザル肩関節周囲筋の筋線維タイプ構成
小島 龍平折戸 伸悟時田 幸之輔
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抄録

ニホンザルの肩関節周囲筋の筋線維タイプ構成を検索した。標本は雌ニホンザル(3歳3ヶ月、体重5.8kg)で総頚動脈より10%ホルマリン注入固定後、同液中に約17年間保存された標本である。右側の三角筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、大円筋、肩甲下筋の起始および停止を遊離し、筋全体を採取した。筋湿重量を測定後、最大筋腹部で切片薄切用のブロックを切り出し、筋腹全横断面をカバーする凍結連続切片を薄切した。抗速筋型MHC抗体(clone MY-32、Sigma)および抗遅筋型MHC抗体(clone NOQ7.5.4D、Sigma)を用いて間接蛍光抗体法により免疫組織化学染色を施し、筋線維タイプを判別した。筋線維タイプ構成は遅筋線維の数比(%ST)として求めた。各筋の%STは以下のとおりであった。三角筋前部:11%、三角筋中部:47%、三角筋後部:42%、棘上筋:66%、棘下筋:37%、小円筋:46%、大円筋:43%、肩甲下筋:39%。また、同一個体の腓腹筋外側頭では21%、ヒラメ筋では96%、腹壁筋の腹直筋28%、外腹斜筋32%、内腹斜筋29%、腹横筋28%であった。三角筋は前部と中部および後部で筋線維タイプ構成が大きく異なり、前部は速筋優位であった。また、肩関節周囲筋の中で棘上筋が最も遅筋線維が多かった。これらの結果と、すでに報告した同一個体の体幹と肩甲骨および上腕骨を連結する筋の筋線維タイプ構成をあわせて機能形態学的な解析を行う。

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© 2016 日本霊長類学会
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