霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: B20
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口頭発表
ドローン山岳遭難探索システムを用いたニホンザルの追い払い法の検討
*森光 由樹
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抄録

平成27年度全国のニホンザルによる農業被害額は10億9100万円 (農水省,2017)と高い状況にある。簡便で効果的な被害防除法の開発が急務である。電動ガンやロケット花火などを用いた,人によるサルの追い払いは効果があるが,労力がかかり被害農家の負担が大きく継続して実施できない場合がある。そこで報告者は,ドローンを用いて群れを追跡し,追い払いの効果について検討した。兵庫県神河町に生息している加害群を対象に,ドローン(Parrot Bebop 2)を用いて農耕地に出没した個体の忌避状態を記録し,本法の有効性について検討した。群れの捜索と追跡は,山岳遭難探索で用いられているビーコン(ヒトココ,AUTHENTIC JAPAN)を群れの成獣メスに装着して行った。群れが農耕地に出没したらドローンを群れの上空に飛行させた。飛行は,群れが農耕地からいなくなったら終了とした。飛行1日目は全ての個体が,ドローンに驚き逃避した。しかし,14日経過後,逃げない個体が観察された。今回の試験から,ドローンは追い払いに有効な方法であるが,しかし他の防除法と同じく学習し馴れてくると効果が弱くなる可能性もある。ドローンは操縦にある程度トレーニングが必要なこと,風雨の影響を受けること,バッテリー容量から飛行時間が短いこと,航空法の制限を受ける地域があることなどがある。今後は機材の開発と合わせて運用方法が課題である。

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© 2017 日本霊長類学会
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