霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: B19
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口頭発表
カメラトラップで明らかになった野生ニホンザルの活動時間
*半谷 吾郎大谷 洋介本郷 峻本田 剛章岡村 弘樹肥後 悠馬
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抄録

サルのような追跡の容易な動物であっても,活動時刻のパターンを,追跡によって知るのは難しい。夜間や悪天候時のように,追跡ができない状況が存在するためである。カメラトラップは,そのようなバイアスなしに活動を記録することのできる,非常に有用な手段である。本研究では,野生ニホンザルの夜間を含めた全体的な活動パターンを知ることを目的に行われた。屋久島西部,標高800mから1300mの地域に30台の自動撮影カメラを設置し,2014年7月から2015年7月までの期間,動画の撮影を行った。カメラの稼働日数の合計は8658日・台で,カメラあたりの稼動日数は287±80日/台(平均±SD),最長352日,最短98日だった。合計で,ニホンザルを636回撮影した。一日の時間帯を,日の出日没前後各1時間,昼間,夜間の6つに区分すると,撮影頻度は昼間と日の出後1時間>日没前1時間>日の出前1時間>日没後1時間>夜間の順だった。日の出前後と日没前後は明るさでは差がないが,日の出前後の活動が高かったのは,夜間の絶食による空腹の影響と考えられる。夜間の撮影は全部で4回あり,撮影日時は3:42(8/17),3:26(3/14),1:30(11/12),18:30(11/7)だった。日の出・日没前後1時間の4つの時間帯について,撮影数の季節変化を分析すると,気温が高い時期に日の出前の時間の撮影が多い傾向があった。暑い時期には,より涼しい時間帯に活動を活発化させることが有利なのだろう。30分後との降水と撮影の有無の関係を検討すると,全体として降水と撮影のあいだに負の関係があり,降水がないときに比べて,30分間の雨量がわずか0.5mmでも,撮影頻度は下がった。撮影が観察された最大降水量は6.5mm/30分だった。

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© 2017 日本霊長類学会
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