霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P22
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ポスター発表
機会学習によるニホンザル顔認識システム
*大谷 洋介小川 均
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抄録

ニホンザル(Macaca fuscata)を対象とした獣害対策,生態調査等の効率的な実施には,集団の分布や個体数情報が必要となる。直接観察による個体識別法はそのための有効な手段であるが,一方で個体数・記憶の継続・他者への伝達の困難さ等の空間的・時間的制限が存在する。またテレメトリー法は継続的な位置特定が可能であるが捕獲に多大なコストが必要で,個体への負担もゼロではない。本研究ではこれら既存の調査法を補完する手法として画像を用いた顔認識システムの構築・実用化を目的とした。近年,ヒトを対象とした顔領域抽出・個人識別システムが実用化されつつあり,これをニホンザルに適用することができれば低コスト,低労力で空間的・時間的制限を拡張した生息状況のモニタリングシステムが実現可能となる。しかしながらヒトとニホンザルの顔は形態的特徴が異なり,新規システムの開発が必要であった。本研究では京都大学霊長類研究所に飼育されているニホンザル集団のうち4集団211個体を対象として動画撮影を実施し,抽出した顔の静止画像をサンプルとしてシステム構築を行った。多数の顔画像をもとにHaar-like特徴量を用いた強化学習(AdaBoost)により識別器を作成し,顔領域の自動識別を行った。これにより,既存のヒトを対象とした顔領域識別フィルタと同等の性能を実現した。現在,並行して深層学習を用いたシステム構築を行っており,最終的にいずれの方式がより高い精度・高速な処理を達成可能か,比較検討を行う予定である。

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© 2017 日本霊長類学会
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