霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: W2
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自由集会
AI技術は霊長類との関わり方を変えるのか
山田 一憲上野 将敬
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抄録

日時:2018年7月13日(金) 13:00-16:10
場所:3号館2階3225教室

技術は霊長類学を大きく発展させてきた。個体識別の技術は,サルの行動が血縁や年齢や社会的地位によって異なることを明らかにし,動物研究において欠かせないものとなった。Altmann(1974)に代表されるサンプリング法は,職人技的な観察力を持たなくても誰もが公平なデータを収集できることを担保した。推測統計の進歩は,観察者の「歪んだ」印象を修正したり,観察者が主観的には知覚できなかった要因の影響を検出する役割を果たすこともあった。霊長類学の歴史は,サルの理解が進んだ歴史だけでなく,霊長類研究者がサルに向ける態度やまなざしが変化した歴史でもあったのだろう。
本集会の目的は3点ある。1つ目は,私たちが取り組んでいるAI技術を用いた研究の紹介である。私たちは,この技術を利用して個体識別と集団の発見と行動観察をおこなう計画を進めている。2つ目は,人間である霊長類研究者がもつ個体識別能力の特徴を検討することである。霊長類研究者を対象とした認知心理学的実験に基づいて,AIと人間の類似点や相違点について検討する。最後は,AI技術の導入によって将来生じうる私たち霊長類研究者の変容可能性について議論をおこなうことである。技術が霊長類研究者の能力を拡張するだけでなく,霊長類研究者を変容させる可能性にも注目することで,霊長類を観察することの新しい意義や楽しさについて議論を深めたい。

プログラム
1.趣旨説明:AI技術は霊長類との関わり方を変えるのか
山田一憲(大阪大学 人間科学部)
2.深層学習とパーティクルフィルタを用いた動物種追跡
林 英誉(岐阜大学大学院 自然科学技術研究科)
3.深層学習を用いたニホンザルの個体識別
加畑 亮輔(岐阜大学大学院 自然科学技術研究科)
4.人間の霊長類研究者が用いる顔の情報処理戦略
上野将敬(大阪大学 人間科学部)
5.霊長類研究者の変容可能性
久保明教(一橋大学 社会学部)
6.フロアを交えた議論

責任者:山田一憲,上野将敬
連絡先:yamada@hus.osaka-u.ac.jp

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© 2018 日本霊長類学会
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