主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 35
開催地: 熊本
開催日: 2019/07/12 - 2019/07/14
【目的】チンパンジーのように長寿の野生動物では,DNAから対象個体の年齢や集団の年齢構成を推定できれば,生態の解明に大きく貢献することができる。本研究では,血液試料に加えて非侵襲的な糞試料を用いてDNAメチル化を検出することによる年齢推定および野生下個体への応用の可能性を検討した。【方法】年齢既知の飼育チンパンジーの血液(42試料)および糞(52試料)由来のDNAを用いて,ELOVL2(Elongation of very long chain fatty acids protein 2)遺伝子のメチル化率を解析した。試料からDNAを抽出し,バイサルファイト処理後,High-Resolution Melting(HRM)解析により,メチル化率を定量した。【結果】ELOVL2遺伝子のメチル化率と年齢との相関を解析した結果,血液・糞でメチル化率と年齢に正の相関がみられた(血液r = 0.915,p < 0.001 ; 糞r = 0.566, p < 0.005)。次にELOVL2遺伝子をマーカーとしてメチル化率から年齢を推定した結果,血液ではMAD(Mean Absolute Deviation)が3.47才,糞では4.40才であった。【考察】本研究からメチル化率を指標とした年齢推定の可能性が示唆され,特に糞での結果から野生下個体への応用の可能性も示された。今後は他遺伝子の探索や他種での年齢推定の検討を試みる。