主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 35
開催地: 熊本
開催日: 2019/07/12 - 2019/07/14
飼育環境下のチンパンジーは,もともとの生息環境とは異なる生活のため,多大なストレスがかかっている。これは異常行動として表出していると考えられる。本研究において私たちは,熊本市動植物園で飼育されているチンパンジーの行動観察を行い,観察中に現れる異常行動の頻度をストレスの指標とした。本研究では,採食エンリッチメント設置することでストレスを軽減し,異常行動を減少させることを目的とした。対象とした5頭のチンパンジーの行動を観察し,何もしない状態とエンリッチメントを設置した状態での行動の違いを調べた。1回目の実験では異常行動の減少は見られなかった。そのため,実験期間をずらしてフィーダーの構造を改良し,再び対照実験行った。しかし,フィーダーがうまく機能しなかった。その原因としては,対照実験の期間が空いたこと,フィーダーの仕組みがチンパンジーにとって複雑であったことが考えられる。本研究の結果をうけ,野生の行動を引き出せるようなフィーダーを開発すること,観察環境が同じ状況下での行動観察が今後の課題として挙げられる。