主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 36
開催地: オンライン開催
開催日: 2020/12/04 - 2020/12/06
ウガンダ、カリンズ森林には5種のオナガザル科霊長類が生息している。このうち4種が継続的に観察されているが、その1種であるロエストモンキー(Cercopithecus lhoesti)は、グエノン類にあっては珍しく地上で採食、遊動することが多い。そしてこれまでの研究から、彼らは採食時間の半分以上を昆虫食に費やすことが明らかになっている(Tashiro, 2006)。 そうした中、私は2009年よりロエストモンキーの採食行動を継続的に観察してきた。そしてある季節にはキノコを高頻度で採食していることが明らかになった。 そこで本報告では、彼らの採食行動を、キノコ食を中心に考察した。まず彼らは、1日の活動時間の25%を採食に費やしていた。この割合は、田代による先行研究とほぼ同じであった。採食品目割合を見ると、昆虫が最も多く37%、次いで果実が33%、髄が14%、その他が10%となっていた。そして、このその他のほとんどは、キノコであった。田代による先行研究では、昆虫が60%余りだったので、本研究での昆虫の割合は大きく異なっていた。一方、田代によると、その他の割合は2%で、キノコ食の割合が低かったことがうかがわれる。また、ルワンダで調査を行ったKaplin & Moermond(2000)によると、昆虫の割合が9%、その他が10%で、昆虫の割合がたいへん低い一方で、その他の割合は本研究と同じであった。こうした相違の原因は、調査地間の環境の違いや調査時期の違いによるものと考えられた。他の霊長類のキノコ食と比較した場合、本研究で得られた割合は、特別高いわけではなかった。しかし、グエノン類に限れば、この割合はかなり高いと考えられる。今後は、キノコの種同定や毒性の有無の調査を行い、なぜロエストモンキーは、キノコ食を頻繁に行うのかを考えていきたい。