霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
三次元幾何学形状分析を用いた霊長類・上位胸椎の定量分析
―棘突起に着目して―
菊池 泰弘荻原 直道
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p. 36

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抄録

様々な移動運動様式を示す霊長類における胸椎は, 移動の際に生じる力学的ストレスやエネルギー効率,さらには採食時の姿勢を維持し体幹を安定させるために,バリエーションに富んだ形態を示すと考えられる。特に,棘突起は上肢筋である,僧帽筋や菱形筋が付着し,その影響を受けやすいと推測される。そこで本研究では,上位胸椎の棘突起に特に着目し,種間差の抽出を試みた。ゴリラ,オランウータン,テングザル,チンパンジー,シアマン,アヌビスヒヒ,パタスモンキー,ハヌマンラングール,ホエザル,クモザルにおける第3~6胸椎,合計67標を対象にCT撮像を行った。得られたデータを16bit-tiffデータに変換し3Dソフトを用いて三次元再構築を行った。3Dデータ上で各霊長類種における解剖学的相同点とそれらの中間点,合計104点を決定した。その後Procrustes解析によるサイズの正規化および位置合わせ後,座標(シェープ)を主成分分析で解析した。 その結果,棘突起形状は,長さや棘突起先端形状,さらには厚みが,樹上性と地上性の霊長類で大きく異なる傾向を示した。特に,ぶらさがりのオランウータンやブラキエーションのシアマンにおいて,棘突起が椎体サイズ比で短く尾側に傾斜し,その先端が大きく,また根部も厚い傾向を示した。アジア生息の類人猿における上位胸椎では,支持基体に対してぶらさがる行動に関連した機能的要求が棘突起形状に表れている可能性が示唆された。本研究はJSPS科研費20K06835,京都大学霊長類研究所・共同利用研究2020-B-4の助成を受けたものです。

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© 2021 日本霊長類学会
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