主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 37
開催地: オンライン開催
開催日: 2021/07/16 - 2021/07/18
p. 45-46
コロナ禍において、動物園での展示は来園者の密集を避けるため、人が集まるガイド等のプログラムを休止している。京都市動物園では2008年からシロテテナガザルを対象にした学習の様子を来園者に公開で行ってきたが、上記感染防止の理由から2020年5月以降は開園日での実施は休止している。とくに同年7月から翌年2月までの約8か月間で、わずか4日、計81試行を実施したのみであった。2021年2月22日にどの程度課題を覚えているかをテストした。 対象は、京都市動物園で飼育しているシロテテナガザル(Hylobates lar)オス1個体で、テスト時の年齢は37歳10か月だった。2008年4月よりタッチモニター上のアラビア数字を1から順に触れていく課題の学習を開始し、2013年6月に1から8まで8個の数系列の学習が基準に到達し、9を加えた9個の系列学習を開始した。その後は学習基準に到達しないまま2020年まで学習を継続していた。テストでは、1から5まで、6まで、7まで、8まで、9までの5種類の課題を10問ずつ順に提示した。正解時にチャイム音に続いてリンゴ片を与える他、エラー時にもブザー音の後5秒程度のタイムアウトの後にリンゴ片を与えた。この強化スケジュールは、実験開始当初から同様であった。成績は、1 から5 までで8 問正解、 6 までで6 問、7 までで6 問、8 までで5問、9までで5問の正解だった。1から9まで10問の再テストを行った結果4問正解で、これらの結果は長期間の休止に入る直前の正解率(100問中44問)と差はなかった。この後、2,021年4月25日から緊急事態発出に伴って動物園が休園となり、学習機会を増やしたところ、成績は100問中47問正解であった。これらの結果から、長期の学習休止期間を経ても系列の記憶は保持されていることがわかった。