霊長類研究 Supplement
第37回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
ヒト乳幼児と大型類人猿の定位操作と入れ子のカップ課題から見た認知発達
林 美里竹下 秀子
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p. 45

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抄録

物の操作は、ヒトを含む霊長類の認知発達をはかる比較尺度となる。道具使用の前提となる定位操作は、物同士を組み合わせる操作だ。この定位操作の発達について、ヒト乳幼児とチンパンジーでは縦断的に、ボノボ・ゴリラ・オランウータンでは横断的に観察をおこなった。ヒト乳幼児では、箱の穴に棒を入れる、積木をつむ、入れ子状にカップを組み合わせる、という3種類の定位操作が、すべて1歳前半に初出した。 チンパンジーでは、穴に棒を入れる定位操作は1歳前、3個のカップを組み合わせる定位操作は1歳半、積木をつむ定位操作は2歳半以降に初出した。ボノボではチンパンジーと同様に入れ子のカップの定位操作の出現が早く、ゴリラでは逆に積木をつむ定位操作の出現が早かった。オランウータンでは、入れ子のカップと積木の定位操作が、同じ年齢で出現した。 入れ子のカップ課題で、ヒトとチンパンジーの操作の階層性を指標とした種間比較をおこなった。両種ともに、カップを組み合わせる方略が、試行錯誤的な段階から、カップをまとまりとして操作する部品集積型による効率的な組み合わせへと変化した。飼育下の大型類人猿では、発達の時期や順序は異なるが、道具使用の前提となる定位操作が見られた。チンパンジーは穴に棒を入れる定位操作が大型類人猿の中でもっとも早くから見られ、野生チンパンジーが多様な道具使用をおこなう認知的基盤である可能性が示唆された。

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