霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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シンポジウム
霊長類iPS細胞に基づく幹細胞ヒト進化生物学
今村 公紀
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p. 14-

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抄録

ヒトへと至る霊長類進化は生物学上の大きな命題であり、なかでも知性の獲得をもたらした大脳発生の進化は「ホモ・サピエンス(=賢いヒト)」を規定する顕著な要因である。こうした大脳発生進化の「ヒト特異性」を解明するためには、共通プログラムに基づく「普遍性」の研究から、種特異的な「特殊性」や「多様性」の研究に舵を切る必要がある。しかし、ヒトと非ヒト霊長類組織を用いた比較ゲノム/トランスクリプトーム解析によるアプローチでは、ヒト特異的な配列や発現を示す遺伝子の同定は可能であるものの、表現型すなわち機能的な「ヒト化」をもたらし得るのか、という因果関係を検証することはできない。加えて、表現型の種差は種共通のボディプランの進行と並行して経時的に拡大していくと考えられ、細胞・組織の発生動態(プロセス)を俯瞰したアプローチが必要であるが、ヒトと類人猿の発生過程で「いつ、何が違うのか」については全く分かっていない。一方、iPS細胞技術の確立を受けて、任意の動物種・細胞系譜の発生分化を培養下で再現することが可能となった。そこで、我々は非ヒト霊長類のiPS細胞を作製し、分化誘導系の比較解析によるヒト特異性の特定と遺伝子操作に基づく機能解析を試みる「幹細胞ヒト進化生物学」を標榜し、発生進化研究に取り組んできた。本大会では、その概要と進捗について報告する。

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© 2022 日本霊長類学会
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