霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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口頭発表
ニホンザルの骨盤形態における性差の年齢変化
森本 直記川田 美風富澤 佑真兼子 明久西村 剛
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p. 35-

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抄録

分娩の要である骨盤は、ヒトでは難産を反映して形態の性差が最も大きい骨格部位である。ヒトでは骨盤形態の性差が、出産適齢期の近辺で拡大し、老年期にかけては逆に小さくなることから、骨盤の発生様式は分娩に適応しているという仮説が近年提唱された。しかしこの仮説が霊長類においてどの程度一般性をもつのかは不明である。マカクは、ヒトとは異なり基本的に閉経がない一方で、ヒトと同程度に児頭骨盤比が大きく、ヒトの比較対象として好適である。本研究では、飼育下にあるニホンザルの腰部をX線CT(コンピュータ断層)により撮像し、骨盤の三次元形態の成長変化を出生から最大18歳まで横断的にオスとメスとで比較した。この結果、概ね初産の年齢まではオスとメスとで類似の形態変化をたどるが、その後年齢とともに性差が拡大することが明らかになった。ニホンザルとヒトは性差の年齢変化のパターンそのものは異なるものの、骨盤の発生様式が分娩様式に対応するという点では共通する可能性が示唆された。

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