霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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口頭発表
野外霊長類学が果たしてきた役割
杉山 幸丸
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p. 53-

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抄録

周知のとおり現代の霊長類学はニホンザルの野外研究から始まった。それは1950年代から60年代にかけて動物研究と人類学・社会学・心理学・生物学とを繋げる橋渡しの役割を果たしてきた。1967年に霊長研ができ、異分野出身教員たちの集まりで時間がかかったが、やがて共同研究を通じて新しい異分野癒合の研究が始まった。野外のサルへのDNA分析の導入、認知科学の誕生、野外個体のホルモン分析、視覚・聴覚の脳研究等。いずれも厳密な条件統制を旨とする実験室研究が野外に進出することによって突出した研究分野の創生につながったのである。野外研究は常にそれら新研究の基盤の役割を果たしてきた。

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