霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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ポスター発表
シロテテナガザルの二足歩行および垂直木登りにおける脊柱起立筋活動
岡 健司後藤 遼佑中野 良彦
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p. 55-

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抄録

脊柱起立筋は、ロコモーション時に活動して体幹姿勢保持に関与する体幹筋であり、霊長類では二足歩行時と四足歩行時に類似した活動パターンを示すとされている。我々はこれまでにシロテテナガザルを対象とした運動計測を行ってきた。現在は詳細な解析の途上であるが、二足歩行と垂直木登りの間においても脊柱起立筋の活動は概ね類似すると推測している。すなわち、ロコモーション様式の種類によらず、移動時の脊柱起立筋は特定のパターンで活動している可能性がある。一方で、常習的ロコモーション時と非常習的ロコモーション時では脊柱起立筋活動が異なることを示唆する先行研究もある。二足歩行と垂直木登りにおいても、重力負荷の方向、身体支持・推進における前肢使用の有無といった力学的条件も異なっており、筋活動には異なる点が存在しうると考えられる。今回、シロテテナガザル1頭の二足歩行と垂直木登りにおける脊柱起立筋の筋電図を解析し、筋電波形の定性的比較に加え、運動周期における筋活動量のピーク値、ピークを示すタイミング、周波数因子などの比較を運動間で行なった。これらを解析した結果から、シロテテナガザルの二足歩行と木登りにおける脊柱起立筋活動の類似点と相違点について報告する。

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