霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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ポスター発表
テナガザルのアイ・トラッキング:顔写真をどのように見るか
打越 万喜子ユ リラ服部 裕子
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p. 67-

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抄録

これまで様々な霊長類種で認知研究が行われてきたものの、テナガザルを対象にした研究は非常に数が少ない。過去十数年の間、チンパンジーなどを対象にした視線計測の研究が参加個体に負担のない、自由参加できるスタイルで確立されてきた。本研究では初めてテナガザルを対象に、アイ・トラッキング実験場面を試験的に構築した。ヒト行動進化研究センターで飼育される大人雄のテナガザル3個体(ツヨシ・ラジャ・マミー)を対象に2021年より馴致を開始した。計測にはTobiiTX300とTobii Pro labを用いた。将来的に動物園で採用しやすい環境設定になるように工夫した。現在までに1個体で安定的なデータ収集ができている。テナガザルが顔写真をどのようにみているか、1個体を対象に実験した。見知らぬヒト・テナガザルの顔写真を計48枚用いて、それぞれ3秒間ずつ呈示した。1日に2枚ずつ、計24試行おこなった。対象個体の各注視は平均200msec、サッケードの振幅は平均6°で、ヒト・テナガザルの写真刺激の両方で、目の領域を最も長く注視した。その他、注視の順序等、分析結果を報告する。

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© 2022 日本霊長類学会
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