霊長類研究 Supplement
第39回日本霊長類学会大会
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口頭発表
ギニアサバンナのパタスモンキーの食性:サヘルサバンナとの比較から(予報)
中川 尚史
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p. 35-36

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抄録

パタスモンキー(パタス)は、熱帯閉鎖林とサハラ砂漠に挟まれたサヘルサバンナ、スーダンサバンナ、ギニアサバンナに広く分布している。これまでその採食生態について詳細な調査が行われたのは、カメルーン・カラマルエとケニア・ライキピアにおいてであり、いずれもアカシア(マメ科ネムノキ亜科)が優占するサヘルサバンナであった。そして、前者ではAcacia sieberianaA. seyalの、後者ではA. drepanolobiumのガムに加え、前者ではバッタなど、後者ではアカシア共生アリなどを中心とした昆虫を主食にしていた(Isbell, 1998; Nakagawa, 2000)。体の大きいパタスがガムや昆虫という小さく分散した食物に依存できるのは、長肢化に伴う効率の良い移動能力の産物であるとされている(Isbell et al, 1998; Nakagawa, 2003)。乾季中期にあたる2022年12月~23年1月にかけて、マメ科ジャケツイバラ亜科が優占するギニアサバンナ帯に位置するガーナ・モレ国立公園に生息するパタスMotel群を対象に食性調査を行った。群れの0歳2頭、1歳4頭、2歳2頭を、原則1時間個体追跡し、各個体の1日のうちの時間帯毎の追跡時間、総追跡時間が同じになるように個体を変えた。行動を連続記録し、採食中はその品目を記録した。その結果、準優占種であるAnogeissus leioarpaCombretum fragransなどのシクシン科の樹種のガムに加え、バッタなどの昆虫を主食としていることが分かった。よって、ギニアサバンナにおいても、食物種は変えながらも長肢を生かした食性を堅持していることが明らかとなった。

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