霊長類研究 Supplement
第39回日本霊長類学会大会
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中高生発表
人の声に含まれる倍音と聞き手が受ける印象についての考察
横山 史織
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p. 55-56

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抄録

本研究は、声に含まれる倍音と聴衆が抱く印象の関係性を明らかにすることを目的としている。目的を達成するために、3種類の機械音声を用いてそれぞれの音声について3つの楽曲を作成し、聴衆がそれぞれの音声・楽曲の組み合わせを聴いた際にどのような印象を抱くかを感情評価尺度を用いたアンケートにより調査した。この調査結果をもとに、カイ二乗検定を行い印象への影響の大きさを比較した。その結果、「聴衆が抱く印象は、曲よりも声質による影響が大きい」ことが明らかになった。この結果は、アーティストの声質の重要性や音楽制作において声質に注力することが必要であることを示唆している。さらに、3種類の機械音声の持続音をそれぞれフーリエ解析した上で、聴衆が抱いた印象との関係を比較した。その結果、持続音に含まれる整数次倍音と「荘重」印象の相関、非整数次倍音と「親和」「軽さ」印象の相関、13〜16kHzの非整数次倍音と「強さ」印象の相関を見いだした。これらの結果は、倍音の重み付けを調整することによって、聴衆が受け取る印象をある程度操作したり、制作者の意図をより鮮明に表現できるようになる可能性を示している。この仮説をもとに、調性の影響や人の声質の違い等を考慮しながら再実験を行い、仮説の検証や更なる視点からの考察を行った。

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