主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 39
開催地: 兵庫県
開催日: 2023/07/07 - 2023/07/09
p. 55
公益財団法人日本モンキーセンター(愛知県犬山市)の「リスザルの島」には全13頭(ハニの家系5頭、ハミの家系5頭、その他3頭)のボリビアリスザルが放飼されている。2021年の調査で、0歳個体ハズキ(ハニの家系)とハレルヤ(ハミの家系)の2頭に着目し、その社会関係の記録・比較を実施した。その結果、どちらの個体も同じ家系のメス(母、祖母、おば)と頻繁に近接する一方、ハズキは、ハレルヤと比べ、自分と同じ家系のメスとの近接が少ないという個体差がみられた[第66回プリマーテス研究会(2022)]。0歳個体でみられた社会交渉の個体差は、それぞれの家系のオトナ個体でも同様に見られるものではないかと考えた。そこで、ハミ家の個体は、ハニ家の個体に比して、同じ家系の個体に対してより親密な社会交渉があるという仮説を検証した。2022年6月~11月に調査を行った[総観察時間12.7時間]。リスザルの島を複数のエリアに分け、5分ごとに各エリアにいた個体をスキャンサンプリングで記録した。各個体がどの個体と同じエリアにいたかをもとに「親密度」を数値化し、コドモと関わっていないときのオトナ個体同士の家系別親密度を可視化した。その結果、2021年の調査における0歳個体に見られた個体差は、オトナ個体では観察されなかった。オトナ個体同士では、ハニ家・ハミ家ともに、他の家系の個体とも同じ家系の個体とも均等に関わっていることが明らかとなった。オトナ個体は、コドモと関わっていないとき、相手個体の家系によらず均等に関わりあっていることが示唆された。