霊長類研究 Supplement
第39回日本霊長類学会大会
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中高生発表
丹波篠山市の獣がい対策
~放任柿の早期収穫とその利用~
長澤 颯希西田 光澄坂本 光希永井 涼太
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会議録・要旨集 フリー

p. 56-57

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抄録

兵庫県丹波篠山市は、美しい里山の風景が残る地域で、農業が基幹産業となっています。また、野生動物も多く生息し、野生動物による農作物の被害が深刻となっています。野生動物は農作物を食い荒らすだけでなく、農家のやりがい・生きがいを奪う、重大な問題であり、対策を講じなければ、農業のやる気もなくなってしまいます。その原因の一つに民家の庭先に収穫されずに放置された柿があげられます。柿が放置されているとニホンザルが山から降りて、農家の方が丹精込めて栽培した農作物にも被害がでます。野生動物が山から降りて来ないようにするために、柿を放置せず、収穫することが対策として有効です。そこで私たちは庭先に放置された柿を早期に収穫し、ジャムに加工するという活動を始めました。令和3年度には柿ジャムを使ったロールケーキを考案し、丹波篠山市内の洋菓子店において商品化されました。昨年度は、柿をフードドライヤーで乾燥させ、パウダー状に加工したものを使用して、パンやクッキーを製造しました。これらは、丹波篠山市で行われた市民センターまつりにおいて販売しました。市民センターまつりを通じて、市民のみなさんの獣害への関心の高さ、学校への応援の声、柿の加工品の価値を認識することができました。そして、柿ジャムは丹波篠山市のふるさと納税返礼品として、今年度から取り扱いが開始されることになりました。

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