霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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中高生発表
多摩丘陵におけるムササビの分布と環境要因
内藤 真那人早見 大翔
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 107

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抄録
本校生物部では、2018年より東京都町田市・八王子市に広がる多摩丘陵(七国の森)でムササビの調査を行っている。調査地の七国の森は、南北に住宅地、東西に幹線道路が通る孤立した森林であり、生息地の分断化が起きている。また標高150-210mと低く、コナラ・クヌギを中心とした二次林が広がり、ムササビの生息地として有名な高尾山とは植生、樹高などがかなり異なっている。ムササビの目撃情報も少なく、これまで生息がほとんど確認できなかった地域であり、本地域でのムササビの分布に関する先行研究もほとんどない。しかし丘陵に隣接する幼稚園の巣箱でムササビが確認されたのをきっかけに、住宅地に囲まれた丘陵地で生息するムササビの生息状況と環境要因を調べるため、2023年9月から本格的に調査を始めた。
 ムササビの生息確認は、日中はフンや食痕を探し、日没後は目視での個体確認を行った。生物部では、高尾山での12年間のムササビ分布調査でノウハウがあったが、七国の森ではフンや食痕などがほとんど見つからず困難を極めた。しかし少しずつでも生息確認ができるようになってきたので、本格的調査以降生息の確認ができた場所を座標データにし、GIS化した。そのムササビの分布からバッファーを作成し植生図と重ねた。またムササビの生息地、非生息地においてそこに生育する樹木の胸高直径を測定し比較した。その結果、開発されつつある丘陵地のムササビが減少しつつある中、七国の森では広範囲にわたりムササビが生息していることが分かった。また、その生息域は非生息域よりも樹木の胸高直径の平均が有意に高かった。年間を通して供給される食物や樹洞、滑空可能な高木が少ない環境下でもムササビは生息し、繁殖していることから、ムササビにとって最低限必要な環境要因を今後さらに追究していきたい。本研究がムササビの保全に少しでも役立つことを期待している。
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