霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
糞虫類による二次散布がニホンザルに散布された種子の発芽に与える影響
成田 歩山口 飛翔関澤 麻伊沙辻 大和
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 84

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抄録
霊長類が散布した種子の生存率や発芽率は、種子捕食者や二次散布者の影響を受ける。宮城県金華山島のニホンザル( Macaca fuscata)に散布された植物の種子は、同所的に生息する糞虫類によって二次散布されている可能性が高い。本研究では、①糞虫類によるサル糞内種子の埋め込み行動を通年調べ、糞虫類による埋め込みが島の植物の初期成長に与える影響を評価した。2022年6月から11月にかけて、金華山島で採集されたサル糞を水洗し、サルが散布する植物種子の構成とその季節変化を調べた。次いで2023年4月から9月にかけて、ピットフォールトラップを用いて糞虫類の個体数を調べた。野外調査と並行して、島で捕獲したセンチコガネ類(Phelotrupes spp.)を用いて、種子を模したビーズを地中に埋め込ませる屋内実験を実施し、各月の種子の埋め込み率および埋め込み深度 (cm) を調べた。さらに、2021年12月と2023年1月の二回、サル糞内種子を3段階の深度(地表0cm・浅い1-5cm・深い6-10cm)で播種し、各深度に播種した種子の発芽率を最長21カ月間継続して調べた。サル糞から出現した種子の構成と糞虫類の捕獲個体数(夏にピーク)には明瞭な季節変化があった。ビーズの埋め込み割合は、糞虫類の捕獲個体数とともに増加したが、埋め込み深度は低下した。発芽実験では、深く播種された種子は、他の条件下より発芽率が低いという結果が得られた。ただし、浅く播種された種子の発芽率が常に高いわけではなく、樹種間の違いは大きかった。室内実験と先行研究の知見より、糞虫類は夏季にサルによって散布される種子の初期成長に正の効果を与えると考えられた。また、糞虫類による種子の埋め込みは、発芽率の上昇よりも埋め込みによる捕食者回避という面でプラスに作用すると考えられた。
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