霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
マーモセットのgum食に対するGPCRの寄与
Leonardo MELO石村 有沙糸井川 壮大早川 卓志福島 美智子Valdir LUNAMaria ADERIA今井 啓雄
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 86

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抄録
マーモセットは樹脂・樹液(gum)を嗜好することが知られているが、その分子的な機構は明らかになっていない。我々はgum中に含まれるカルシウムとその受容体CaSRおよびTAS2R7という二つのGタンパク質共役型受容体(GPCR)に注目して、機能解析等を行った。 まず、様々な樹種のgumに対してCaSRの応答を検討したところ、含有カルシウム濃度に応じてCaSRの活性化が観察された。カルシウムはヒトには苦く感じるが、その分子機構は苦味受容体TAS2R7がカルシウムに反応するためである。TAS2R7の反応性をマーモセットとヒトで比較したところ、ヒトのTAS2R7はカルシウムに応答するのに対して、マーモセットのTAS2R7は反応しなかった。また、マーモセットの舌におけるCaSRの発現細胞を免疫染色法を用いて検討したところ、腸管と同様に内分泌細胞マーカーと共染色されたが、甘味や苦味を受容する味細胞には発現していなかった。これらの結果から、マーモセットのgum嗜好性は内分泌細胞に発現しているCaSRを介して形成され、TAS2R7による苦味は感じないことが示唆された。
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© 2024 日本霊長類学会

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