霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
「高宕山のサル観察クラブ」発足:(I)高宕山自然動物園ニホンザル群での個体識別と行動調査
丸橋 珠樹川本 芳相沢 敬吾池田 文隆白井 啓白鳥 大祐直井 洋司
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 89

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抄録
千葉県房総半島南部では、野生化したアカゲザルとニホンザルとの交雑が2002年に判明し、2004年にはニホンザル生息地での交雑個体も報告された。千葉県房総ニホンザル個体群での交雑は拡がりを増し、世代を重ねるごとに遺伝的交雑判定には高度な解析が必要となっている。 1956年には高宕山サル生息地が天然記念物指定され、隣接地域で餌付けに成功し、1959年に動物園(高宕山自然動物園の前身)が開園した。約60年後、2016年からの富津市事業で、動物園の164頭の形態と遺伝子が検査され、57頭(34.8%)の交雑が判明し、交雑個体は安楽殺により動物園から除かれた。 当時、屋根のない施設の柵は老朽化し、野生個体の出入りが可能であった。2019年台風で柵は全て倒壊し全個体が逸走したが、金網檻施設に回収することができた。再建のため高宕山自然動物園在り方検討会議が設置され、新施設の基本構造と在り方について検討を重ね2022年には提言書副題『富津市高宕山サイエンスパーク(仮称)の実現に向けて』を報告した。 完成した施設では、外部からの個体侵入・交雑はあり得ない。つまり、永続的に交雑の恐れのない房総半島で唯一のニホンザル群だと評価できる。個体識別と遺伝情報を収集し、健全な繁殖集団維持方法を確立し、高宕山自然動物園を観光と社会教育に活用する手法を、富津市と協働して発展させる必要がある。 在り方検討会議委員と房総の自然調査の経験豊かな方々と2023年に「高宕山のサル観察クラブ」を結成し、富津市に協力を仰ぎながら活動を開始した。千葉県における交雑問題について日本霊長類学会は幾度も要望書を提出し、高宕山自然動物園での観察学習会を開催してきた。本クラブの調査活動は、学会要望書アフターケアー活動でもある。我々の活動内容の一つである、個体識別写真と行動観察ヴィデオの活用について具体的に報告する。
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