抄録
近年、国内外において動物園でのオープンラボ型比較認知科学研究が拡がっており、そのなかにはコンピュータ課題を用いた研究も含まれる。コンピュータ課題を用いたオープンラボ型研究導入の障壁のひとつとして、大規模な施設改修などの経済的負担が挙げられる。そこで、より簡便なコンピュータ課題導入のために、ポータブル式タッチモニタ装置が開発された。発表者は、2019年より、日本モンキーセンター(愛知県・犬山市)においてポータブル式タッチモニタ装置を使用した実験的研究を実施している。また、秋田市大森山動物園(秋田県・秋田市)での同様の研究を計画している。日本モンキーセンターのマカカ属6種8グループを対象とした研究では、実験参加履歴のないグループに対しても、問題なくポータブル式タッチモニタ装置を導入してコンピュータ課題による学習を進められることが明らかになった。さらに、実験場面での社会的行動の種差も確認された。日本モンキーセンターでの研究を中心に、ポータブル式タッチモニタ装置を用いたオープンラボ型比較認知科学研究の可能性と課題について報告する。