霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
日本モンキーセンターを活用した中部学院大学「比較認知発達論」の行動観察実習
林 美里
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 94

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抄録
中部学院大学では、基礎教養系科目・専門基礎科学科目の1つとして「比較認知発達論」という授業が開講されている。発表者が2021年度に専任の授業担当者となってからは、14回目の授業で、公益財団法人日本モンキーセンター(以下、JMC)での行動観察実習を実施している。受講生の大半は、教育学部子ども教育学科幼稚園教諭・保育士コース2年生だ。授業では、ヒトの発達や子育てを相対化する視点として、比較認知発達に関する幅広い知見や、動物福祉の視点、行動観察の手法を学ぶ。JMCでは、個体識別にもとづくチンパンジーの行動観察、またはモンキーバレイのヤクシマザルの場所利用等に関して、各自30分間の行動観察をおこなう。15回目の授業で、各自が収集したデータをTeamsアプリ上で共有して分析し、レポート課題の一部として研究成果を報告する。複数年度で複数日に行動観察を実施することで、気温や天候の違いによる行動の変化を調べたり、同時に複数人が同じ個体を異なるサンプリング方法で観察して結果を比較したりすることも可能だ。これらは個人による研究では得られにくいデータを含み、大学という高等教育機関で授業として行動観察実習をおこなう利点と考えられる。また、行動観察の経験やJMC内での活動の体験をもとに、将来の子ども教育の現場で集団を引率して来園する場合などに、安全な引率という視点だけでなく、JMCでの実体験を通して子どもの主体的な興味関心を伸ばし育むような関わりに繋げることも期待される。一方、対象種の観察経験がないと行動カテゴリーを事前に設定することが難しい、1人1回の実施では観察精度や信頼性が低いという課題もある。今後は、大学等賛助会員の制度を活用し、1つの授業で複数回の訪問をすることや、学部・学科横断的に複数の科目でJMCを活用した授業をおこなうなど、JMCを通して大学での学びを深めるための体制構築が望まれる。
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