霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
Vision Language Modelを用いた霊長類画像解析の初期的評価
吉田 信明田中 正之
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 110

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抄録
近年,大規模言語モデル(Large Language Model,LLM)と呼ばれる,自然言語処理に高い性能を持つ深層学習技術の発展・普及が進んでいる。LLMの一つに,自然言語と画像双方に対応したモデル(Vision Language Model,VLM)があり,画像の分類などのタスクに対して,高い性能を示している。特に,自然言語による指示(プロンプト)に基づいて,少量のサンプル画像(few shot / zero shot)の下でも一定の質の高い応答を示せる特性から,形態や行動の態様が多種多様な霊長類の画像からの自動的なデータ収集への活用可能性が期待される。そこで,このようなVLMの霊長類の画像解析への適用可能性について検討する初期的な評価を,京都市動物園で撮影したチンパンジーの監視カメラ画像に対して行った。この評価では画像中のチンパンジーを数えるタスクにおいて,正答率と,正答との平均誤差を調べた。VLMはllava(Liuら,2023)を使用した。入力画像として,0~5頭のチンパンジーが写っている画像80枚を用意し,うち6枚をサンプル,残り74枚を評価対象とした。VLMには画像とともに「画像に写っているチンパンジーは何頭か」答えるよう,指示を与えた。その結果,サンプルによる模範解答もあわせて提示した場合,正答率29.7%,平均誤差は1.05頭であった。一方,”チンパンジー”を”chimpanzee”にすると,それぞれ14.3%,2.42頭であった。また,模範解答を提示しなかった場合,正答率17.6%,誤差1.56頭となった。LLMでは,自然言語で指示を与えることによる柔軟性がある一方で,指示の内容や表現により結果が変化するため,指示の適切な設計が求められる。特に,入出力データが分野固有のものである場合,それらも含めた指示が必要である。加えて,同じ指示に対するモデルの振る舞いにもランダム性が含まれており,出力データも注意を要する。しかし,広範な動物種に対応した機械学習用データセットの構築が容易でない中で,VLMの柔軟性を霊長類研究において活用する手法の確立が求められる。
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