霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
予測ニッチ占有率(PNO)アプローチによる、マカク属の過去分布および祖先ニッチ特性の推定
高根 太朗キャス ジェイミイ
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 125

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抄録
霊長類のパピオニニ族は、マカク属、ヒヒ属、マンドリル属、マンガベイ属、キプンジ、ゲラダヒヒを含む多様な旧世界ザルのグループで、アフリカとアジアに広く分布する。現生種は40種以上にのぼり、熱帯から温帯、乾燥地帯や高地まで多様な環境に適応している。化石記録からは、かつて旧世界の温帯域全体に広く分布していたことも明らかになっている。分子系統解析の結果、約400万年前以降に急速な多様化を遂げたことが示されている。このように、多様な環境への急速な放散を示すパピオニニ族は、適応放散や気候ニッチ分化の過程を探るうえで優れたモデルである。本研究では、マカク属の気候ニッチ幅を推定し、系統情報に基づいて祖先のニッチをモデル化することで、パピオニニ族の過去の分布可能域を特定した。具体的には、生態ニッチモデルを用いて各現生種の気候的適合性を推定し、ニッチの幅や位置を特定した。さらに、進化モデルを用いて、これらのニッチデータと分子系統樹を統合し、祖先系統の気候条件を推定した。マカク属の結果からは、共通祖先が温暖湿潤な気候に適応していたことが示唆された。種分化が進行した中期鮮新世(約330万〜300万年前)の祖先分布地も推定した結果、多くは化石記録と一致していたが、インド亜大陸や中央アジアなどでは鮮新世以前の直接的な化石証拠が見つかっていない。これは、パピオニニ族の過去の分布が、未調査あるいは化石保存に不向きな地域にも広がっていた可能性を示している。今後は、進化速度の変動を考慮した柔軟なモデルを導入し、化石記録との比較を通じて、分布と系統拡散の時空間的ダイナミクスをより詳細に再構築する予定である。最終的に、本研究は、パピオニニ族における生態的・進化的多様化のメカニズムを明らかにし、霊長類の進化や気候適応、保全への応用にも貢献することを目指している。
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