霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
会議情報

中高生発表
ジェフロイクモザル(Ateles geoffroyi)の利き手と尾の側方性の関係について
武井 大祐戎岡 里紗
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 141

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抄録
日本モンキーセンターで飼育されているジェフロイクモザルを対象に,利き手と尾の側方性の関係について調査した。本研究は,私たちが所属する部活動の先輩方による「尾の側方性」に関する先行研究をもとに,尾と,手との関係性を調査したものである。調査対象は,モンキースクランブルで飼育されているレーズン(5歳・オス),レイチェル(17歳・メス),チロル(16歳・オス),レイコ(40歳・メス)の4個体と,南米館で飼育されているチロ(34歳・メス),レンゲ(20歳・メス),ダニエル(28歳・オス)の3個体,計7個体である。調査は2023年12月10日から2025年4月26日までの期間中に11日間実施した。先行研究は,尾が物体を一周している状態を「尾を巻きつけている」として尾の巻きつきの方向と傾きの左右を記録したもので,チロは巻き付きにおいて右側優位,レンゲは巻き付きと傾きの両方で右側優位という結果が報告されている(関,2024)。本研究では,手を使用した行動を「マニピュレーション(手を使った物体操作)」と「ロコモーション(移動様式の変化)」の2つに分類して観察した。マニピュレーションでは,片手のみで採食や毛づくろいを行う際に使った手を,ロコモーションでは移動時に最初に使われた手を記録した。得られたデータから側化示数を算出し,両側二項検定で有意差を検討した。その結果,チロはマニピュレーションで尾と同側に,ロコモーションでは反対側に有意な偏りが見られた。また,レイチェルとレイコは尾に側方性は見られなかったが,マニピュレーションでは左手,ロコモーションでは右手に偏りが認められた。ロコモーションにおいて尾の巻き付きおよび傾きとの側化示数の相関係数は,いずれも絶対値0.7以上の負の相関を示し,尾の側方性と利き手に逆の傾向が現れる可能性が示唆された。今後は観察データを増やし,結果の信頼性を高めたい。
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