抄録
今「障害の有無」「性別」「年齢」や「国籍」に関係なく,ひとりでも多くの人々が「使いやすいモノづくり」「住みやすい家づくり」「暮らしやすいまちづくり」を目指す『ユニバーサルデザイン』が注目されている。今回は最初にユニバーサルデザインの基礎として,ロナルド・メイス博士(米国)が提唱する7原則をモノの実例を挙げながら分かりやすく説明し,続いてユニバーサルデザインを配慮したモノづくりのポイントを実際の商品開発事例を用いて解説します。さらに,「住みやすい家づくり」のポイント,「暮らしやすいまちづくり」のポイントについて説明します。そして,ひとりの障害を持たれた方の訴えが,世界を動かすことになった「公共トイレの操作系機器配置の世界標準(ISO)」について理解を深めてもらいます。最後には,ユニバーサルデザインの理解を深めていただくために,UD心得・5ヶ条を伝授したいと思っています。ユニバーサルデザインの原点は「ひとにやさしいこころを持つ」「ひとを思いやる気持ちを持つ」ことであると私は信じており,その精神が当たり前のこととして世の中に広がっていくことを,こころから願っています。