抄録
電子機器が解決すべき課題の一つに待機電力がある。待機電力とは,コンセントに接続された製品がその動作を停止させた状態でも消費する電力のことで,これはタイマーや,電源コントロールの為に微小ながら電力を消費するため発生する。
日本での1世帯当たりの待機電力は年間総電力の5~10%を占めると言われており,原子力発電所の約3.6基分に相当する。地球規模で見た場合,待機電力はさらに膨大なものであると考えられる。地球温暖化が進んでいる今日,待機電力の削減は地球環境にとって非常に重要である。
電子機器の待機電力削減技術として,コンデンサを用いたものある。この技術では機器の動作時に,予め,待機電力分の電力をコンデンサに充電する。待機時は,基盤電力の出力と機器の大部分を停止させ、コンデンサに充電しておいた電力を使用することにより,疑似的にプラグを抜いた状態を作り出している。ただし,待機電力分をあらかじめ確保しているため,総合的な電力の削減にはつながっていない。
本研究では,赤外線リモコンによって電子機器の操作とプラグの抜き差しが統一的に扱うことが可能な,待機電力がゼロとなるリモート電源スイッチを提案し,実際にスイッチング動作が行われるかどうか検証した。