抄録
日本は島国であり,降水量が多いことから海や河川などの水資源が豊富に存在し,その他にもプール等の遊泳施設も整備されている。そのため、夏場のレジャーとして、水泳を楽しむ人が数多く見られる。しかし,水難事故による被害者も存在している。平成26年度の水難事故の発生件数は1,305件,水難者は1,491人,うち死者・行方不明者は740人存在している。 また,過去10年間の水難事故の発生状況をみると、わずかな変動はあるが,ほとんど横ばいであり,現在水難事故を防ぐ有効な方法が存在していないことがわかる。 既存の溺れ検出システムとして、スマートフォンを用いた検出システムが存在する。しかしこの研究ではスマートフォンの通信機能を用いるため、電波の状態が悪い場所では使用不可能である、スマートフォンを後頭部につけるため、背泳ぎのような体勢だと溺れていると誤検出してしまうといった問題点が存在する。 また溺れている人の特長として20~60秒ほど水面付近でもがいてその後水底へ沈んでいくというものがある。私たちはこの特長に着目し、既存研究の問題点であるスマートフォンの電波を必要としないこと、体勢によって誤検出しないことを目的として研究を行った。