小児歯科学雑誌
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原著
簡易型唾液α-アミラーゼ測定による小児歯科治療時のストレス解析についての研究
竹松 翠山田 早希子栗原 亜由希杉山 智美浅里 仁馬谷原 光織佐藤 昌史井上 美津子
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2015 年 53 巻 1 号 p. 47-53

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抄録
ストレスの要因となりうる小児の歯科治療に対する恐怖や不安の原因を解明するため,本研究では3 ~12 歳の小児84 名(男児45 名,女児39 名)を対象に,チェアーサイドで簡易型唾液α-アミラーゼ値測定器を使用し,治療前後の唾液中のα-アミラーゼの測定を行った。測定結果と診療との関連について検討し,下記の結果を得た。1 .診療前後の唾液中のAml 値は個人差があり,ばらつきも多かったが,全体的に診療後に下降したものが多かった。2 .年齢によるAml 値の変化は,有意差はないが,6~12 歳では診療後に上昇するものがやや多くみられた。3 .診療時間帯によるAml 値の変化は,上昇するものの割合が午前よりも午後の方が多く,午前の方が下降するものの割合は有意に多かった。4 .診療時間や診療内容によるAml 値の変化はあまり認められなかった。5 .浸潤麻酔の有無によるAml 値の変化については,有意差はなく,麻酔を使用しても必ずしもAml 値の上昇はみられなかった。6 .日常の性格によるAml 値の変化については,有意差はないが,おとなしいものは活発,普通に比べ上昇したものがやや少なく,下降したものがやや多かった。これらのことから,診療時間帯,浸潤麻酔の使用に際しての配慮,患児の年齢や性格などを考慮した対処が必要と考えられ,今後の歯科的対応に活用していく必要性が示唆された。
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© 2015 日本小児歯科学会
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