産業応用工学会全国大会講演論文集
Online ISSN : 2424-211X
2016
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AEDのための小型高電圧発生電源の開発
*安倍 寛二*緒方 亮*江口 啓
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 28-29

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抄録

本稿では,AEDのための小型高電圧発生電源を提案している。2004年7月に非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用が認可されてから,学校などの公共施設へのAEDの設置が進んでいる。平成26年度においては,一般市民が心原性心肺停止を目撃しAEDを使用して除細動を実施した傷病者は1,030人であり,そのうち1ヵ月後生存率は50.4%であった。これは心肺蘇生を実施しなかった場合の1ヵ月後生存率8.4%と比較して6.0倍高くなっており,AEDによって除細動を行うことの重要さは明らかである。AEDによる除細動は一般的に1,000~2,000Vよって行われており,大容量のコンデンサをこの電圧で充電し,人体への通電時間5ミリ秒以下で放電することによって行われる。除細動を行うための高電圧はAEDに内蔵されているリチウムイオン電池12Vから昇圧回路を用いることで生成される。現在,一般的にこの昇圧回路として変圧器やコイルなどの磁性部品を用いた回路が利用されている。しかしながら,磁性部品を用いることによって回路が大規模,かつ,重くなる。これによってAEDのサイズも大きくなり,重量も重くなっている。磁性部品を用いずに高電圧を発生する回路としては,コッククロフト・ウォルトン回路(CW回路)が一般的である。CW回路は,コンデンサとダイオードのみによって構成される高電圧発生回路であり,同じ回路を直列に接続することによって任意の値の高電圧を簡単な回路構成で発生することができる。このとき,1段のCW回路を作製するためにはコンデンサ2つ,ダイオード2つの計4個の素子が必要になる。CW回路をAEDに用いるためには回路の段数を63段にする必要がある。そのため,252個の素子数が必要となり,回路は大規模になってしまうという問題点がある。 本研究では,磁性部品を用いずにAEDに必要な小型高電圧電源を提案することで,小型・軽量のAEDを実現する。提案する回路の有用性は実験によって確認している。

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© 2016 一般社団法人 産業応用工学会
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