抄録
組込み機器ではマイコンが使用される.マイコンの開発者は,様々な組込み機器に対応できるよう,多種多様なマイコンを用意する必要がある.ある機能に特化した場合,適用対象ごとに専用マイコンを開発することになり,開発コストが莫大になる.また,汎用化を推し進めてすべての機能を包括させたマイコンは実現不可能である.
これらの問題に対して,動的部分再構成(DPR : Dynamic Partial Reconfiguration)可能なプロセッサが有用だと考えられる.なぜなら,同一チップであるにもかかわらず,必要に応じて回路を切り替えることができ,出荷後もシステム全体を止めずに新たな回路を加えることもできるためである.
DPRに関する研究は数多く行われているが,多くの場合,データ処理回路に対してDPRが用いられている.しかし,再構成部で,周辺回路を動的に切り替えることはあまり考慮されておらず,周辺回路の切り替えによる機能の実現性や性能に与える影響は,実際に評価されていない.
本論文では,動的部分再構成を用いた汎用マイコン(GEDY: General purpose micro-computer with dynamic partial reconfiguration)を提案し,その再構成部を設計開発する.そして実験で動作検証を行う.