抄録
導電性ナノ微結晶ダイヤモンド/アモルファスカーボン(NCD/a-C)膜は、同軸型アークプラズマ蒸着法を用いて、真空・室温の環境下で作製した。本条件は、主流の作製法である化学気相成長法からすると異例といえる。本研究の目的は、作製膜の電気化学的特性を解明し、安価型かつ量産性に富む高性能電気化学測定用電極として確立させることである。これまでの研究において、膜が難分解性物質である4-ニトロフェノール(4-NP)を二酸化炭素レベルまで分解できる電解反応用電極として機能することを明らかにしている。しかしながら、分解時間が60分を超えたあたりで、分解性能が不安定となる現象が確認できた。本研究では膜の面積を3倍拡大し、60分毎に新しい電極を使用することで性能の安定化を試みた。結果として、分解レベルを従来よりも約3倍向上させることができた。また、並行して電気化学センサ用電極としての基礎特性に関しても調査を行なった。導電性NCD/a-C膜を作用極とし、濃度の異なるフェリシアン化カリウム水溶液のサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行なった結果、作製膜が濃度の違いを検出可能とした電気化学センサ用電極として機能することが確認できた。